年末調整は、1年間に給与所得者が納めるべき所得税額を確定するための重要な手続きです。
2024年は、定額減税の導入や申告書様式の変更があり、例年とは異なる対応が求められます。
この記事では、改正のポイントとともに、スムーズな年末調整を実現するための月別スケジュールを解説します。
2024年の年末調整で押さえるべき改正内容
1. 定額減税の導入
2024年6月1日以降、所得税と住民税に対する定額減税が適用されています。
- 所得税:1人当たり3万円
- 住民税:1人当たり1万円
扶養親族や配偶者を含めた減税例:
- 配偶者と子供1人を扶養している場合:所得税9万円、住民税3万円の減税。
年末調整では、この減税が正確に適用されるよう、給与計算システムをアップデートし、従業員から必要な申告を受け付けることが必要です。
2. 申告書様式の変更
2024年から使用される各種申告書に変更があります。
- 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書に「定額減税」に関するチェック欄が追加。
- 保険料控除申告書の「続柄」欄が削除され、記載が簡素化。
3. 扶養控除等申告書の提出簡略化
2025年1月以降、前年と扶養親族状況が変わらない場合、簡易な申告書での対応が可能になります。
スムーズな年末調整を実現するスケジュール
以下は、2024年の年末調整を円滑に進めるためのスケジュールです。
10月:準備開始
- 改正内容の把握
- 定額減税の仕組みと新様式について、国税庁の資料やシステムベンダーのガイドを確認。
- 従業員への周知
- 改正内容と必要な書類を従業員に通知。
- マイナポータルを活用した電子申請方法を案内。
11月:書類の収集と確認
- 必要書類の回収
- 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書
- 保険料控除申告書
- 扶養控除等申告書
- 内容の確認
- 記載漏れや誤記をチェック。
- 記入に不安がある従業員にはサポートを提供。
12月:年末調整の実施
- 給与データの整理
- 年間の給与総額を集計。
- 控除対象額や税額を計算。
- 過不足額の調整
- 定額減税や各種控除を反映。
- 源泉徴収額との差額を計算し、還付または追加徴収を実施。
1月:最終確認と提出
- 源泉徴収票の発行
- 従業員に配布。
- 法定調書の作成と提出
- 税務署や自治体への報告書を提出。
- 住民税通知書の対応
- 各自治体へ情報を送付し、翌年度の住民税額に反映。
年末調整の注意点
1. 定額減税の適用漏れに注意
定額減税は自動適用ではないため、申告内容に基づき適切に計算されるよう注意が必要です。
2. 新様式の記載ミスを防ぐ
改正後の申告書には、新たな記載欄が追加されています。
記入例を共有するなどして従業員の記載ミスを防ぎましょう。
3. マイナポータルの活用
マイナポータルを利用することで、書類提出や確認作業が効率化されます。
従業員に利用を促しましょう。
まとめ
2024年の年末調整は、定額減税の導入や申告書様式の変更に伴い、例年よりも細かい対応が求められます。
この記事で紹介したスケジュールを参考に準備を進め、スムーズな対応を目指しましょう。
- 10月:準備開始
- 11月:書類の回収・確認
- 12月:調整作業
- 1月:提出・報告
適切な計画を立てることで、事業主と従業員双方の負担を軽減し、円滑な手続きが可能になります。
この記事を参考にして、改正内容を正確に把握し、必要な準備を進めてください。
ご不明点があれば、税務署や専門家に相談することをおすすめします。